音読のさせ方20+指示例
20種類の音読のさせ方と指示例、させる時のポイントを載せています。
教師が様々な読ませ方を知っていることで、子どもに飽きさせず、目的に合わせて読ませることができます。
(1) 追い読み
教師の読んだ通りに読ませる方法である。(子ども全員に対して。)
音読が苦手な子も、聞いた通りに読めば良いので簡単にできる。
物語文・説明文・詩など、最初の音読指導で行うことが多い。
子どもの能力や状態に合わせて一文で区切ったり、句読点で区切ったりする。
先生の後について読みなさい
ポイント①
出だしをそろえさせる。
→ 1回目はなかなかそろいにくい。そこで、2回、3回と読ませてそろって読むようにさせる。学級を安定させることにつながるからである。
ポイント②
長文を区切る。
→ 段落ごと、ページごとなどで区切る。長く読みすぎると飽きる。
ポイント③
子どもが読み終えるちょっと前に次の文を読み出す。
→ かぶせ読みとも言う。だれない。読みにはりが出る。
(2) 起立読み
文字通り立って読ませる読み方。立つことで音読だけに集中させ、緊張感をもたせる。
だれが読んで、だれが読んでいないかを教師が知ることができる。
○場面1回読んだ人は座ります。全員起立。
ポイント①
読み終わった後、座ってからも読んでいる子をほめる。
→ いなければ読むように指示する。時間差に対応する必要がある。
(3) 向き変え読み
段落ごとや場面ごとに向きを変えて読ませる読み方。
飽きさせない上に、どこを読んでいるかを教師が知ることができる。
1段落から4段落まで読みます。
1段落は前を向いて、2段落は窓の方を向いて、3段落は後ろを向いて、4段落は廊下の方を向いて読みます。全員起立。はじめ。
ポイント①
読み終わった後、座ってからも読んでいる子をほめる。
→ いなければ読むように指示する。時間差に対応する必要がある。
◆交代読み(人を変えて) 単元や授業の初めの方で行うことが多い。 交代しながら読み進める読み方。
(4) 教師と子どもで
(5) 男子と女子で
(6) クラスを半分に分けて追い読み
(7) 隣同士で
◆交代読み(長さを変えて)
(8) 文節交代読み
(9) 句読点交代読み
(10) 一文交代読み
(11) 段落交代読み
(4)と(10)の組み合わせバージョン
先生とみんなとで一文交代読みをします。先生が丸まで読むので、みなさんは次の丸まで読んでください。これを繰り返します。
※ (4)~(7)と(8)~(11)の組み合わせで、多様な交代読みをすることができる。
ポイント①
読む範囲を長くしずぎない。
→ 場面やページで区切るようにする。
(12) 累加読み
群読の一種。
一人、二人、多数、・・・、全員と読む人数を増やしていく読み方。
読みに迫力をつける効果がある。〔教材例:雨が降る、おまつり など〕
一列目の人、手を挙げて。初めから最後まで読みます。二列目、二行目から最後まで読みます。
三列目、三行目から最後まで読みます。
四列目、何行目から読むんですか。(四行目から)
その通りです。
そうやってどんどん読む人数が増えていくのです。
では始めます。さんはい。
ポイント①
説明は短く分かりやすく。
→ 累加読みについて短く明確に指示することがポイントである。
(13) 一斉読み追い読み
全員で声をそろえて読ませる読み方である。
問いの文や、重要で短い文を読ませるときに行うことが多い
(読むところを指定して)みんなで読みます。さんはい。
ポイント①
出だしをそろえさせる。
→ 1回目ではなかなかそろいにくい。そこで、2回、3回と読ませてそろって読むようにさせる。安定するからである。
ポイント②
読む範囲を短くする。
→ 長く読ませると、遊び出す子がいる。
音読が上手な子と一緒に読ませることで、苦手な子もつられて読めるようにさせるという考え方もある。しかし、そうであれば追い読みの方がより確実である。
(14) リレー読み追い読み
物語文や説明文など一文ずつリレーしながら読み進める読み方である。
【①の場合】
今からグループの中で順にリレー読みをします。○段落
一回読めたら座ります。座っても読むのですよ。起立。
①グループの中で順に
②グループごとに
ポイント①
一人につき何回も回ってくるようにする。
→ すぐに自分の順番が回ってくるから緊張感を保ちながら読ませられるのである。クラス全体で一人ずつするとだれる。
(15) 役割読み追い読み
登場人物やナレーターなど、役割ごとに分かれて読む読み方である。
会話文の多い物語文の音読に適している。
〔教材例:光村図書〕
「くじらぐも」(1年) 「お手紙」(2年) 「きつつきの商売」(三年)
「三つのお願い」(四年) 「新しい友だち」(五年) 「カレーライス」(六年)
【③の場合】
(役割読みの説明をして、)今から役割読みをします。○役を●●さん、□役を■■さんに読んでもらいます。ナレーターは他のみんなですよ。どうぞ。
〈クラス全体(全)とグループ内(グ)で行う場合とがある〉
①登場人物一人につき複数、ナレーター:教師(全)
②登場人物一人につき一人、ナレーター:一人(全グ)
③登場人物一人につき一人、ナレーター:他の全員
(全グ)
ポイント①
全体でやり方を見せてからグループ内でさせる。
→ 役割読みをグループ内でさせるとき、まず全体でやってみる。
やり方を確認してからグループ毎にさせると、上手くいきやすい。
(16) 指名なし音読 (前段階:たけのこ読み)追い読み
教師が指名することなく、子どもたちだけで読み進めていく読み方。
指名なし発表の前段階の学習である。
今から指名なし音読をします。(説明)一文交代です。どうぞ。
※一文交代、一段落交代など読む長さは教師が決める。
ポイント①
読む前に机を真ん中へ向きを変える。
→ お互いを見ながら読むから、譲り合いが生まれる。
ポイント②
次に読む人を立たせる。
→ 教師が指名しないので、子ども同士のアイコンタクトや譲り合いによって音読が進んでいく。間が空かないよう、一人が読んでいるうちに次に読む人を立たせておく。常に二人立っている状態をつくるのである。
ポイント③
譲ることを教え、譲った子を褒める。
→ 一度に数人が立った場合、「まだ読んでいない子に譲ってあげてね。」などと言って譲ることを指導する。そして、譲った子を褒める。そうすると譲り合いが生まれ、スムーズに進むようになる。
ポイント④
読まない子、読めない子を巻き込む。
→ どうしても最後まで読まない子も中にはいる。
そんなとき、「まだ読んでいない人立ってごらん。残りは立っているみんなで読みます。」と言って読ませる。「よく読めました。次は立てるといいね。」と言って少しずつ自分で立って読めるようにしていく。
(17) 速読(学期に一回程度行うのが望ましい)追い読み
スラスラとどれだけ速く読めるかだけを目当てとした読み方。
たまにすると熱中する。
速読ができるということは、大体の内容が分かっているということである。
今から速読みをします。○ページを何秒で読めるかを計ります。練習時間は3分です。始め。
※本番は、「挑戦したい人いますか。」と聞いたり、列を指定して読ませたりする。
ポイント①
時間を決めて、‘どこまで読めるか’を目当てにする方法もある。
→ ポイント①に書いた方法もあるし、一息でどこまで読めるかを目当てにする方法もある。
→ 使い分けることと、あくまでもたまに行うことが熱中させるポイントである。
(18) 完璧読み(学期に一回程度行うのが望ましい)
一文字も間違えない、つっかえたり読み直したりするのもダメ。「、」や「。」以外のところで間をあけるのもダメ。ゆっくり過ぎるのもダメ。スラスラと流れるように、完璧に読む読み方である。
(やんちゃ坊主も熱中する国語授業 浅川 清 著 P10 より引用)
今から完璧読みをします。今日は○ページの△行目から□行目までです。練習時間は3分です。始め。
ポイント①
範囲は初めのうちは短く(数行)指定する。
→ 「がんばったらできるかもしれない!」と思わせるのがポイント。
ポイント②
挑発の言葉でさらにやる気を出させる
→ 「今から先生の予想を言います。この列で合格する人は、(間をあけ)一人です。合格する人が一人より多かったら、みんなの勝ち。少なかったら、先生の勝ちです。」
(19) 間違い読み
教師がわざと間違って読み、同じ箇所を子どもが正しく読む読み方。
子どもたちは、教師の間違いを見逃すまいと、集中して教科書の文を目で追うようになる。
通読がすみ、ある程度読めるようになってから、試みるとよい方法である。
(やんちゃ坊主も熱中する国語授業 浅川 清 著 P14 より引用)
今から先生が読むところを、みんなも読みます。ただし、先生は、わざと間違えて読みます。みんなは引っかかってはいけません。
ポイント①
子どもたちの意表をつくこと。
→ 子どもに、「次、先生はどんな間違いをするかな。」と楽しみにさせる。
ポイント②
間違えるのは、一文につき一カ所だけに限定すること。
→ 一カ所だけにするから、子どもは教師の読みを集中して聞く。
ポイント③
淡々と、すました顔で、間違い続けること。
→ あくまでも盛り上がるのは子どもたち。教師は淡々と読む
(20) 音読トーナメント(学期に一回程度行うのが望ましい)
班ごとにチームをつくり、どの班が一番音読が上手かトーナメントで決める。
残りの班の子どもたちが挙手で判定する。(谷和樹先生の追試)
音読トーナメントをします。今日は○ページの△行目から□行目までです。練習時間は3分です。始め。
※ 本番は、教師が班対抗のトーナメント表を板書し、進める。
ポイント①
読みの目当てが判定の基準になる。
→ 「スラスラと読むんですよ。」(「大きな声で。」「口を大きく開けて。」など)と言って目当てを決めると、聞いていた子どもたちはその基準で判定する。